鹿沼町遊廓

鹿沼町遊廓は栃木県上都賀郡鹿沼町(かぬままち)字五軒に在つて、日光線鹿沼駅から約十丁の処に在る。新鹿沼迄電車で行けば賃十銭。

鹿沼は、天正年間から壬生氏の城下と成り、近江、北海道及鹿沼近傍は麻の三大主産地で、麻問屋が多く、鹿沼には帝国製麻の工場が駅の附近に在る。遊廓には目下貸座敷が五軒あつて娼妓は二十七人居るが、山形県の女が重である。店は陰店を張つて居て、娼妓は全部居稼ぎ制で送り込みはやらない。廻し制で通し花は取らない。費用は玉代席料共で二円二十銭、台の物や心付けは含んで無いが、此れだけでも一泊が出来るさうだ。然し普通は三円乃至五円と云ふ処だらう。娼楼には、清水(しみず)、竹沢、小林、新藤等がある。