一戸町北館遊廓

一戸町北館遊廓は岩手県二戸郡(にのへぐん)一戸(いちのへ)町字北館に在つて、東北本線一戸駅で下車すれば東へ約十丁の地点に在る遊廓である、駅前から乗合自動車の便があって、上町万代館前で下車すれば宜しい。何れ此の遊廓も、私娼が飯盛女の進化したものには相違無いが、精しい事は判明して居ない。現在貸座敷業が四軒あって、娼妓が八人居る。店は陰店で客を呼んで居り、全部時間制で廻しは取らない。娼妓も居稼制で送り込み制では無い。御定りは六時間が一仕切に成って二円、十一時頃から一泊しても二円である。東北は一帯に安い傾向はあるが、此の辺は特に安い処である。二円一銭以上は遊興税が一割。本部屋の設備は無い。盆踊「踊てけろー(踊って呉れ)踊り踊らば、夜明け烏の渡る迄、ヨーニヤニヤトヤラ、ニヤニヤトヤラヨー」妓楼は三榊楼、三芳楼、三階楼、みどり楼の四楼。