湯温海村温海遊廓

湯温海村温海遊廓は山形県西田川郡湯温海村(ゆあつみむら)字温海(あつみ)にあって、鉄道は羽越本線温海駅で下車し、東へ約二十丁位の所にある。乗合自助車の便があって、片道料金二十銭位である。

非常に不便な地理的関係で、あまり世間に知られて居なかったが、羽越線が開通する様になつてから急に知れ渡つて来た処である。温泉場だから保養がてらの遊山には絶好適地、旅館は一泊二円五十銭以上位である。妓楼の軒数は約三軒娼妓は、約二十人位居て全部居稼ぎ制である。店は陰店制で、東京式時間制及廻し制が普通である。御定りは三円十五銭也で普通洒一本及肴三品付である。又一泊の遊びは最低三円二十銭位からは客か意の儘である。一時間は一円八十五銭(御茶代共)であるが、時間を途中から増す場合は、同様一時間約一円の計算となるのである。芸妓の玉代は一時間一本とし遊税共一円四十銭位である。特風は遊廓兼芸妓屋なので芸妓を呼ぶにも手軽な事だ。温海民謠

「御ざれヾと言はるゝまゝに、温海来て見れや月が出る」

「温海〃と自動車はしる、二十三軒軒別へ」

附近の名勝は温海嶽、大清水、湯見ヶ瀧、平島海、水漁場、暮坪立岩、大島、日本百景の笹川流、スキー場等である。妓楼は竹岡楼、角恵比楼、福本楼の三軒である。