能代遊廊

能代遊廊は秋田県能代港新柳町にあつて、鉄道は、奥羽線機織駅で能代線に乗換へ能代駅で下車する。

能代港は、斉明天皇時代に有名な安部比羅夫が、舟師百八十人を率ゐて、上陸したのは之の港であると言はれてゐる。従って古くから日本海の良港として知られて居た処である現在でも材木の集産地として有名であり、秋田木材会社の規模の莫大なのを見る時は、木材の能代たるを感ぜしむるに充分だ。遊廓は、妓楼約十二軒娼妓八十人位居り、店は写真制及陰店制とあって、娼妓は同県人及近県人が多い。御定りは三円四円とあり、酒肴付で一泊ができる。本部屋は一円増し、最低二円位よりも遊興が出来る様であるが、全部東京式廻し制である。娼妓は当地名物の「秋田おばこ」が得意であるさうな。