本荘町古雪遊廓

本荘町古雪遊廓は秋田県由利(ゆり)郡本荘(ほんじょう)町に在って、羽越線羽後本荘駅で下車すれば、西北約十六丁の地点に当って居る。駅から乗合自動車の便もある。

本荘町は日本海に面した子吉川(こよしがわ)口に在る港町で、明治維新前から諸国の商船が盛んに出入して居た為めに、町も随分古くから発展して居た。町の発展に件って遊廓も繁昌して居たもので、一時は同業者の数を二十数軒も数へた事がある。けれ共、町の発展の一面には私娼の跋扈が件って居たと云ふよりも、寧ろ私娼の方が繁昌して、益々公娼の区域を侵食して来た。現在貸座敷の軒数は四戸あって、娼妓は二十三人居る。店は陰店で客を呼んで居り、居稼ぎ制で送り込み制では無い。別に本部屋と云ふ物は持たないが、廻しは取る事に成って居る。御定りは三円七十銭で税も含んで居る。御銚子が一本附いて一泊が出来る事に成って居る。芸妓を呼べば一時間の玉代が一円五十銭宛である。妓楼は、自由亭、藤亭、松芳楼、亀由亭の四軒。本荘追分「本荘名物焼山のわらび焼けば焼く程太くなるキタサ」