森町遊廓

森町遊廓は北海道茅部郡森町字内浦に在つて、函館本線森駅下車、東へ約一丁の地点にある。

昔は茲も宿場で飯盛女が盛んに跋扈して居たものであるが、法令に依つて女郎屋と成り更らに遊廓と変化したものである。現在貸座敷業は五軒あつて娼妓は二十人居る。

制度は総て東京式で居稼ぎ制であり、写真制であり、廻し式である。遊興に甲乙の二種あつて、甲は本部屋で三円九十銭であり、乙は廻し部屋で三円と云ふ事に成つて居る。此れが茲の御定りで、此れ以外に遊び方は無い。勿論御銚子が附く筈である。遊興税は消費高の一割である。但しチツプは含んで居ない。時間制と云ふのは短時間遊びの事で、一円四五十銭見当だ。妓楼は、観月楼、二福楼、梅香楼、千葉楼、松月楼、等である。因に此辺は松前追分節が盛んである。