岩内町薄田遊廓

北海道後志国岩内郡岩内町薄田に在つて、日本海に面した港町である。岩内線岩内駅で下車すれば、西南約十五丁の処に本遊廓が在る。明治二十年頃迄は、岩内町青橋附近に貸座敷が散在して居たものである。其当時は仲々斯業が発展して居たもので、貸座敷が十五六軒もあり、娼妓も百数十人居たものだつたが、郊外に近い現在の個処に移転してからは、徐々に衰微の形式を辿り来つて、目下の処では僅かに貸座敷が三軒残つて居るのみで、娼妓も十三人に減て居る。店は写真制で、娼妓は居稼制に成つて居り、送り込み制では無い。勿論廻しは取る事に成つて居る。御定りは三円で甲も乙も無い。只本部屋に入るには一円増しと云ふ事に成つて居る。而して御銚子が一本附く筈だ。税は消費額の一割である。娼妓は北海道東北地方の女が多い。遊楼は、北辰楼、豊精楼、末広楼、の三軒。