広尾遊廓

広尾遊廓は十勝国広尾郡広尾村に在つて、広尾線甲札内駅から南へ約十五里、乗合自動車の便がある。

広尾村は可成り昔から在つた処で、寛文六年に松前藩士 蠣崎蔵人と云ふ人が来たと云ふ記録があり、又寛政十年十月近藤重蔵と云ふ人が来て測量をしたと云ふ記録もある。遊廓に成る前迄は私娼だつたが、明治三十一年に全部を纏めて本廓と成したものである。現在貸座敷四軒あつて、娼妓は十二人居り、全部本道の女計りである。店は写真式で陰店は張つてない。娼妓は全部居稼ぎ制で送り込みはやらない。客の廻しは取つて居る。通し花は取らない。費用は御定りが三円で外に税一割、台の物が附く。娼楼には、東楼、二木楼、一二三楼、新竹楼等がある。