三条町遊廓

三条町遊廓は新渇県三条町本寺小路にあつて、駅から七町乗合自動車松屋小路迄十銭である。維新の頃迄は古城町にも十五軒位の妓楼があつたが明治初年県令に依つて、本寺小路に合併して現在に及んだ物であるが、何しろ町の真中にあるので問題となつて居るのである。妓楼四十四軒あるが中には一名位の家もあるし娼妓が居なくて貸席同様な処もあるので娼妓は約六十人位で、殆ど女は北蒲原生れが多い様である。十七八歳の頃女中と言ふ名儀で住み込み二三年見習をさせて満二十歳に達した時に初めて客席に出すと言つて居る。御定りは一時間一枚と言つて茶菓附一円六十銭、更に一時間増す毎に一円づゝ増して行く計算に成て居る。一泊なら五円から六円見当である。特習は大晦日の夜はこの日の営業を休んで楼主以下芸娼妓全部集つて大騒ぎをする習慣になつて居り、娼妓は此の日に限り情夫を招く特権を与へられて居るのだ。民謡「三条おけさ」盆だてがんね茄子の皮の雑炊だ、余りてツこに盛りつけられて、鼻の頭焦がした。(盆の十三日に紺屋が焼けた、をどりの浴衣がよくできた)主なる娼楼、塩屋、菊寿、朝日屋、山本屋、大阪屋、福田屋、泉屋、石持屋、柏徳、柏屋。