五泉町馬場遊廓

五泉町馬場遊廓は新潟県中蒲原郡五泉町字馬場新地にあつて、磐越西線五泉駅から西北へ約九丁、乗合自動車は遊廓前で下車する。賃十銭。五泉は、「五泉平」と云ふ袴地の産地として知られた処で、近年は羽二重、絹絹地等の声価も高めて来た。旧幕時代には、土地に揚屋と称する、私娼とも公娼とも着ない遊女屋があつた。此の揚屋が時代と共に其の制度は改廃されては来たが、遊女の本質其者は今日迄連綿として続いて来た。今の遊廓は其の後身である。目下貸座敷は十四軒あつて、娼妓は二十七人居る。県下の女が多い店は陰店を張つて居て、娼妓は送り込み制もやつて居れば、又居稼ぎもやつて居る。遊興は時間制、又は通し花又は仕切花制で、廻しは取らない。費用は午後六時から十二時迄が三円五十銭、午前一時から翌朝六時迄が二円、午前七時から正午迄か一円五十銭、午後一時から五時迄が二円と仕切つてある。但し台は別だ。だから此の仕切の時間を上手に遊べば、比較的安く遊べる処である。妓楼は一浜楼、長栄楼、第一沢海屋、大松家、大橋家、千歳家、大和家、第二沢海屋、一本杉楼、新正楼、小柳、新川、田中楼、沢屋等である。