魚津町新地廓

魚津町新地廓は富山県下新川郡道下村に在って、北陸線魚津駅から西へ約四丁、乗合自動車の便があつて賃十五銭。魚津は、滑川、水橋、生地の海岸にかけて、四月から六月頃迄の間に、海上へ世界的に不思議な蜃気楼が現はれるので有名だ。珍らしい蛍いかの産地としても広く世に知られて居る。遊廓は数十年間、馬場と、鴨川との二個処に在ったが、大正三年四月に合併して現在の個所に移転したものである。目下貸座敷が十九軒あって、娼妓は約五十人程居る。店は陰店を張って居て、娼妓は全部居稼ぎ制で送り込みはやらない。遊興は時間制で廻しは取らない。費用は一時間遊びが二円、引け過ぎからの一泊が四五円程度、台の物は附かない。税は消費額の一割。芸妓の玉代は二時間一座敷で二円四十銭。附近には鯛あみ、水族館等の見物がある。