神社町

神社町は三重県度会郡神社町（かみやしろまち）字神社町に在つて、関西線亀山駅より参宮線に乗換へ山田駅で下車すれば東へ約一里、乗合自動車で神社停留場迄行けば賃二十五銭である。承応年間に、町内の潮満寺前に七八戸の船宿があつて、各戸で針仕女（はりしめ）と云ふ女を置いたのが此処の娼妓の初りで、明治維新前後には置屋と貸席とに分離して居て、娼妓は置屋に寄寓し、夕暮には貸席に客を連れ込み、又は碇泊中の船に泊り込んだりして居たものであつたが、取締規則改正と共に全部現在の様な居稼ぎ制と成つたものである。店は陰店を張つては居るが、遊廓では無く宿場に成つて居る。客の廻しも取つて居る。御定りは二円で一泊が出来るけれども台の物は付かない。娼妓は三十人居るが殆んど三重県の女である。娼楼は引本楼、豊盛楼、小田屋、花月楼、誘心楼、愛国楼、真砂楼、美咲楼の八軒である。