草津町遊廓

草津町遊廓は滋賀県草津町に在つて、東海道本線草津駅で下車する。草津は昔から中仙道と東海道との追分として繁華な宿場だつた。今の遊廓は云ふ迄も無く此の宿場の飯盛女が発達したもので今でも中々花街は盛つて居る。町の名物は姥ヶ餅で、忠義な姥が、主君の幼君を育て上げる為めに、苦心惨憺して売り出したものだと云ふ。鏡の様な琵琶湖を一望の許に見渡し得る所があるので、眺壁が至極結構だ。貸座敷は現在は十軒程あつて、娼妓は約三十人程居る。店は陰店を張つて居て、居稼ぎ制、遊興は通し花制で廻しは取らない。費用は一時間遊びが一円二三十銭、一泊は台無しで四五円程度である。