宮津遊廓

宮津遊廓は京都府与謝郡宮津町(みやつまち)字新浜(しんはま)に在つて、舞鶴宮津線宮津駅で下車すれば北へ約五丁の地点に在る。宮津町は舞鶴(まいづる)湾に面した港町で、昔から遊廓の発展して居た土地であつた。即ち安政元年には既に当時の国主から許可を得て今の新浜町に遊廓を形成して居たものであつた。然し慶応二年には此の新浜遊廓が万年遊廓へ合併を命ぜられて、万年新地へ移転したものであつたが、明治十一年には再び新浜遊廓が許可せられ、万年新地は全廃を命ぜられ全部新浜へ移転して今日に至つたものである。現在貸座敷は五十九軒あつて、娼妓は八十四人居る。芸妓も五六十人は居るらしい。店は陰店式で、写真は出して置かない。娼妓は送り込み制で、居稼ぎ制では無い。遊興は時間制だから廻しは取らない。費用は一時間が一円三十五銭、一泊は六七円見当である。地唄としては丹後節がある。「二度と行くまい丹後の宮津、縞の財布が空となる」「丹後の宮津デピントダシタ、縞の財布が思ひの種で、二度行くまいとて三度行つた丹後の宮津デピントダシタ」主なる妓楼は出雲楼、丸十、黒田、豊亭、春花、いろは、花菱、松葉楼、松島家、梅の家、米利、岡本、田宮、