山口市後町遊廓は山口県山口市後町に在って、山口線山口駅で下車すれば北へ約五丁、別に乗物の便は無いがそゞろ歩きがてらには好適の場処である。山口市は県庁の所在地で、人口は約三万余、毛利氏の旧城下で山口焼の産地である。旧城址は目下亀山公園に成って居て市街は相当に発展して居る。遊廓には貸座敷が十五軒あって、娼妓が八十人居る。店は陰店で客を引いて居り、娼妓は全部居稼制で送り込み式では無い。時間制で廻しは取らないから、本部屋と廻し都屋との区別は無い。御定りは昼五円、夜一泊は六円、何れも台の物は一通り附く事に成って居る。此の外に一時間一円五十銭と云ふ遊び方もある。茲には箱が這入らない。娼妓は主に県下の者が多い。妓楼は、川本。曙楼、梅月、梅月支店、萩楼、大和、陽気、小谷支店、依附。小谷、東雲、一二三、対山、万歳、福田。の十五軒。