米子市灘町遊廓

米子市灘町遊廓は鳥取県米子市灘町二丁目新地に在つて山陰線米子駅で下車すれば北へ約十丁の処である。乗合自動車の便があるから、荒神前で下車すれば宜しい。乗合賃片道九銭。米子は伯耆第一の都会で、池田氏、荒尾氏の住んだ米子城址がある。中の海から夜見半島へかけての眺望が善く、天の橋立以上だと云ふので「大天橋(だいてんきょう)」の名がある。町の法成寺に在る連理の松は、太さ五丈五尺、高さ十九間あつて、日本一の大松だと云ふ事である。遊廓には現在貸座敷(揚屋)三十三軒あつて娼妓は五十三人居る、店は陰店を張つて居て娼妓は送り込み制である。遊興は総て時間制で廻しは絶対に取らない。娼妓は県下及近県の女が多い。費用は甲二時間二円七十二銭で、乙は二時間二円八銭である。台の物は此の外の計算に成る。尚此の外に一時間一円四十四銭でも遊べる。伯耆小唄「米子よいとこ大大東 西にや錦の中の海」「愛の風なら帆を巻き上げよ恋の風なら泊りましよ」妓楼は、花の家、万春楼、梅田楼、田村楼、浮よ亭、中万春楼、第二梅の家、第二万春楼、寿楼、鶴の家、初の家、富士亭、高砂亭、栄楽亭、都野、常盤楼、松葉楼、今川楼、第二田村楼、生和楼、梅の家本店、末広楼、は野家、八木亭、海仙楼、旭楼、今花楼、松の家、港家、白石楼、第二寿楼、沖半、第二高砂亭、等である。