三津浜町稲荷新地

愛媛県温泉郡三津浜町字稲荷新地に在って省線四国鉄道線三津浜駅下車、西へ約十丁。又は私鉄伊予鉄道三津駅より西へ二丁の地点である。目下伊予鉄道会社に於て、三津浜、松島間の鉄道布設中に付、開通の暁には更に便利と成る事だらう。茲は一寸町とかけ離れた処であるが、何時からした斯う遊廓として一廓を成したものであるかは判明して居ない。湯女乃至は私娼の転化したものである事は云ふ迄も無いが、極最近の事であるらしい。現在貸座敷業が十一軒あって、娼妓は約百四十人程居る。全部居稼制で送り込み制では無い。店は陰店で、座敷は時間制に成って居て廻しは取らない。御定りは夕方六時から翌朝六時迄で七円と云ふのと、一昼夜十四円と云ふのがある。一時間遊びは税共一円五十銭である。妓楼は、新月楼、三福楼、八千代楼、敷島楼、朝日楼、稲葉楼、吾妻楼、いろは楼、鈴の家、住吉楼、日進楼等である。