若津町弥生町遊廓

若津町弥生町遊廓は福岡県三渚郡大川町字弥生町に在って、鹿児島線久留米駅、又は矢部川駅、長崎線佐賀駅、何れの駅で下車しても宜しい、何れの駅からも乗合自動車の便がある。宝暦年間に、時の領主有馬豊光氏が、領内の犬塚にあつた遊廓を、当若津に移転せしめた時に始まつて、現在に至ったもので、目下貸座敷は十八軒あり、娼妓は百卅人居る。店は陰店を張っで居て、娼妓は全部居稼ぎ制で送り込みはやらない。遊興は時間制と通し花とあつて、廻しは取らない。費用は甲が六円で、乙は五円である。何れも台の物が付いて来る。妓楼は、大川、一楽、満金、文盛、松鶴、若松、筑紫、玉国、千年、新盛、喜楽、真川、快心、梅月、開化、一力、青木、丸八、の十八軒。芸妓の玉代は一時間一円。「大川名物長持タンス、何処の嫁女の道具やら、若い大工さふの血は踊る」「飲みに行くなら弥生町の廓、三味や太鼓で花宗踊、酔ふた心地が百薬の長」