宮崎市吾妻新地

宮崎市吾妻新地は宮崎県宮崎市吾妻町吾妻新地に在って、日豊線宮崎駅で下車すれば南へ約八丁の位置である。宮崎市は県庁の所在地で、明治十六年迄は淋しい一寒村であつたものが、置県と共にめきめきと発展して、現在では人口約四万人に達して居る。海は浅くて汽船を碇泊し得ないのは残念であるが、景色は誠に善い処である。珍らしい植物で有名な青島、青島神社、宮崎神宮(高千穂の宮址)等があって、日本の歴史とは不離不即の深い因果関係に在る土地だ。現在貸座敷は拾貳軒あって、娼妓は約七八十人居る。店は陰店で写真は出して置かない。娼妓は居稼ぎ制で送む込み制はやらない。時間制で廻しは一切取って居ない。遊興は一時間一円六十銭、半夜四円八十五銭、一泊七円と云ふ事に成って居る。茲に芸妓は這入らない。妓楼は、待月楼、朝日楼、浪花、吾妻、勇楼、山水、日の出楼、万開、玉川、月見、福寿楼、見晴楼、等がある。