那県市遊廓

那県市遊廓は沖縄県那覇市辻町に在ふ。那覇は県庁の所在地で同県唯一つの開港場である。特に琉球紬、砂糖類が主に出る。港は島に包囲されて内海の中には奧武山の島が美しく浮いて居る。儀間から掛った明治橋は、非常に永い橋だ。市の東には八幡宮があり、北方の海岸には聖現寺がある。現在貸座敷は十三軒あって娼妓は約百二十人位居り、琉球の女及九州地方の女が多い。娼妓は全部居稼ぎ制だ。御定りは時間制で四円、五円、六円とあって、一泊酒肴付である。又一時間なら一円五十銭位で遊興が出来る。勿論通し花制で廻しは取らない。芸妓は呼べるが大概一時間一円五十銭と見れば良い。周囲の人々の風俗は、内地の人々の其れとは大部趣きが異って居る。同胴人であり乍ら異邦人の様な気分のする所で、たまには斯うした処に来て見る事も善いものだ。