馬公街遊廓

台湾澎湖庁馬公街に在つて、鉄道の駅は無い。一小島嶼であるから鉄道を施く余地が無いのである。けれども海路は非常に便利で、毎日本島との往復便船がある。此処の遊廓は明治三十九年に許可されたもので、現在貸座敷が拾四軒あつて、娼妓が約百五十人居る。中には朝鮮人も居れば、本島人も居るが、内地人が一番多い。店は写真式で娼妓の揚げ方は居稼ぎ式で送り込み制では無い。時間制だから廻しは取らない。此処の客は多く船員が多いので、時間遊びよりも一泊の客が多い。一時間約二円、一泊が四円五十銭、昼は午前六時から午後五時迄が四円五十銭と云ま事に成つて居る。五円以上は消費額の一割が遊興税として取られる。娼妓の中には二枚鑑札の女も居るから、芸妓を呼ばふとする場合には便利である。但し此の場合には、遊興費が約五割程量む事を覚悟せねばならない妓楼は、都館、万月、新正楼、開栄楼、松の江、朝日楼、太陽館、敷島楼、新喜楼、富の家、松の江分店、開福楼、松山楼、新栄楼、等である。