吉野町遊廓

吉野町遊廓は慶尚南道統営郡統営面吉野町に在つて、馬山駅から陸上十七里あるが海路は馬山港から近い。朝鮮鉄道の自動車部の乗合自動車がある。当廓には貸座敷が十一軒あつて娼妓は七十人居る。内鮮人経営者が三人居り、鮮人娼妓が二十人居る。内地の女は主に長崎県大分県の女である。店は張店で、芸娼妓共に居稼き制である。遊興は通し花制で廻しは取らない、費用は一泊御定り芸娼妓(二枚鑑札)は六円、娼妓は五円、一時間遊びは芸娼妓一円、娼妓八十銭である。台の物は含んで居ない、娼楼には内地人経営のは米山楼、開花楼、清月楼、一福、豊後庵、喜久屋、松乃家、よからう、等であり鮮人経営の家は福与館、明月館、錦月楼等である。附近には鎮海、馬山等の古戦場があり、産物には、煎魚、海草等があつて、殊に煎魚は東洋第一である。