木浦遊廓

木浦遊廓は朝鮮全羅南道木浦府桜町に在つて、湖南線木浦(もつぽ)駅で下車すれば西南ヘ約八丁の処である。木浦は黄海に面した港町で、貿易も仲々盛んな処で、町も非常に発展して居る。町の住民は朝鮮人が九分で、内地人が一分位の割合に成つて居る。此処の遊廓は大正三年に許可されたもので、貸座敷業者は全部で七軒あつて、内四軒が内地人の経営であり、三軒が朝鮮人の経営に成つて居る。娼妓は全部で七十八人居るが、内地の女は四十四人、朝鮮の女は三十四人居る。店は陰店式で写真制では無い。娼妓の揚げ方も居稼ぎ制で送り込み制では無い。遊興の方法も時間制で廻しは取らない。一泊の甲が十円、乙が七円、丙が五円で台の物が附いて来る。此れは内地人の相場であるが、朝鮮人の娼妓なら此の半額と見て差閊は無い。茲の娼妓は多く二枚鑑札であるから、三味線や唄位は唄ふ筈である遊楼は、一の谷、日ノ出、三橋楼、永春亭、玄海楼、明月楼等がある。