京城府弥生遊廓

京城府弥生遊廓は京幾道京城府弥生町に在つて、京釜線龍山駅で下車すれば約十二丁、市電は「弥生町人口」で下車すれば宜しい。京城は元王城の所在地で、総督府以下の各官衙、学校等があつて朝鮮の首府である。此の遊廓に好況時代には四十軒近くの貸座敷があつたのであるが。目下は不況の為めに二十軒に減つて終つた。娼妓は百五十人居る内に鮮人が二人で、あとは全部内地の女だ。中でも長崎の女が最も多い。店は写真式で陰店は張つて無い、娼妓は居稼ぎ制で送り込みはやらない。遊興に通し花制で廻しは取らない。此処は元来料理店が貸座敷に変化した処なので、娼妓でも芸妓の鑑札を持つて居る者が多い。従つて費用も娼妓と芸娼妓とが異つて来る勘定だ。御定り甲(芸娼妓)が七円で、乙(娼妓)が六円だが何れも台の物は含んで居ない。娼楼は、君の家、桃の家、喜楽楼、三芳楼、三幸楼、大黒楼、人船楼、松月楼、大黒楼支店、花月楼、○丸楼、常磐楼、高陽楼、白水楼支店、山遊楼、金波楼、一福楼、福井楼、白水楼、一富士楼等である。