大連市逢坂町遊廓

大連市逢坂町遊廓は関東州大連市逢坂町に在つて、満鉄線大連駅で下車すれば東西へ約五十丁の位置である。市電は春日町又は大門町で下車すれば宜しい。大連市の照介は小崗子の項でしたから茲では省く事にする。大連市には二大遊廓があつて、一は小崗子であり、一は此の逢坂町である。小崗子には貸座敷が二十九軒しか無いが、逢坂町には現在七十軒ある。芸娼妓の数も、小崗子は二百五十人であるのに、逢坂町には約九百人居つて、規模に於て、又其の発展振りに於て、到底逢坂町の比では無い。茲が明治四十年に最初創設された当時は、僅々十戸に過ぎなかつたものであるが、今日の盛大さから当時を回顧したならば、其の急激な発展振りには実に感慨無量に打たれる事だらう。芸妓九百人の内芸娼妓が四百人、娼妓(当地では酌婦と云ふ)が五百人居て、内朝鮮人が百五十人居る。他は、全部内地人で九州中国地方の女が多い。店は写真制で陰店は張つて居ない。芸妓共に居稼ぎ制で送り込み制はやらない。遊興は時間制だから廻しは取らない。当地の芸妓は二枚鑑札と同様で娼妓と同様な仕事をも公然とやる事に成つて居て、御定りの甲が芸妓で一泊が十三円、乙が酌婦で六円、一時間遊びが酌婦二円と云ふ相場である。遊楼は、松竹、大斗、清川、一力楼、だるま、第四豊栄楼、芙蓉楼、一富士、勇楼、舞鶴、第二千代喜家、三好楼、東雲、恵比須楼、開盛楼、いろは、小富士、千代喜家、末広、音羽楼、第二豊栄楼、神吉、一福、浮舟、大幸、香月楼、曙、菊水、万花、魚藤、吉平、第一豊栄楼、太平楽、花園、常盤、快楽、松市、相生楼、寿楼、八千代、正木亭、愛媛楼、藤栄楼、大和家、恋敷、三田尻楼、美人館、喜笑楼、喜楽、開春楼、吾妻楼、富田家、第五豊栄楼、第二末広、橘楼、代加楼、逢坂楼、品川楼、万盛楼、満花楼、松月、山陽楼、第二逢坂楼、安州館、大連館、日新亭、米山楼、紅梅楼、華山楼、逢川楼等